骨盤位(逆子)は34-35週で自然に戻る事が多く、妊娠満期における骨盤位は約3〜4%とされています。
かつては逆子体操が積極的に行われていました。四つん這いになってお尻を高くあげる体位、すなわち胸膝位を取る方法などが一般的です。
しかし胸膝位は切迫早産では禁忌であり、切迫早産と診断がついていない場合にも、切迫早産をもたらすことが危惧されます。またこの逆子体操で骨盤位から頭位に戻る明確なエビデンスはありません。
鍼灸についてですが、灸療法は骨盤位の矯正に有効であるという報告もあります。灸療法を受けるにあたっては、産科の担当医ともよく相談をした上で、決めるのがよいと思います。
海外も含めて有効とされているのは、外回転術という方法です。
お母さんに足をあげた状態の仰向けになってもらい、子宮収縮抑制薬を点滴投与し、子宮筋をゆるめた状態を作ります。そして、医師がお母さんのお腹の上から両手で胎児のお尻をお母さんの頭側に持ち上げてからくるりと回転させ、赤ちゃんを骨盤位から頭位にする方法です。
この外回転術は限られた施設でのみ受けられますが、羊水量や胎盤の位置、臍帯の状態などの条件によっては行えないこともあります。
時期としては妊娠35-36週頃に行うことが多いです。外回転中に胎児にストレスがかかって、緊急帝王切開術が必要となる場合がまれにありますが、仮に帝王切開分娩となってもある程度の段階に胎児が成熟した時期に行う必要があるからです。
まずは34-35週まで気長に待ってみましょう。それでも逆子の場合でも、医師と相談して納得のいく出産までの道すじが立てられるといいですね。
回答:産婦人科医 笠井 靖代先生
参考文献:
https://jsog-k.jp/journal/lfx-journal_detail-id-18360.htm
https://www.ncchd.go.jp/hospital/pregnancy/senmon/kotsubani.html
http://www.jsam.jp/pdflib/kiso_p13.pdf
情報提供:ピジョン にっこり授乳期研究会